食品の安全を守るために農業者ができること
日本の農産物は本当に安全?
「日本で作られた農産物だから安全」と言われることがあります。しかし、本当に安全だといえる裏付けはあるのでしょうか。
食品の安全を脅かす危害要因(ハザードともいう。)はさまざまです。まず思い浮かぶのは、農業でしょうか。「とにかく農薬を減らせば安全だ」という考えを持っている方がいるかもしれませんが、農薬は農産物の安定的な生産に必要な資材です。このため、農薬に対して正しい知識を持ち、正しく使用することが大切です。
また、農薬の適正な使用のほか、ガラス片や金属片などの異物混入を防ぐ対策も重要です。
さらに、重金属、かび毒、病原微生物などによる汚染などにも注意を払わなければなりません。
こうした危害要因は、どの農場にも存在する可能性があります。事実、これらの危害要因への対応不備による事故は国内外問わず発生しています。「国産だから安全」とは必ずしもいえないのです。
これらの危害要因による食品の事故は、意図せずに生じる場合もありますし、その可能性を知っていながら対策を立てなかったために生じる場合もあります。
事故が起きる前に、リスクを把握し、普段から対策を行うことが重要です。

食品の安全の源流は農業者
農産物は、一般的に、農業者から農協や集荷市場などを経由し、その後、店舗に並べられ消費者の手に渡ります。
途中で加工されたり手が加えられたりすることはあっても、元の素材は農場で生産されたもの。まずはその大もとである農場において農産物の安全が守られていなければ、どの流通経路をたどっても食品の安全は保証できません。だからこそ、農業者の責任は重大です。
