競争力のある農業へ
農産物が国境を越える時代
近年、流通の国際化や貿易の自由化がますます進んでいます。

自給率が低い国では農産物の輸入を必要としており、さらにアジアを中心に世界の食市場は拡大しています。つまり、日本では農産物の輸入も必要ですが、同時に海外への輸出拡大のチャンスでもあるということです。日本の農産物は美味しくて品質も良いと、世界から高い評価を得ています。強みを生かし、求められる様々なニーズに応えていけば、輸出という手段にも可能性が広がるのです。

日本を取り巻く環境
では、日本の状況はどうでしょうか。
日本の消費者は「人口減」と「高齢化」が進み、2065年には人口8,808万人、老年人口割合は38.4%になると予想されています(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」より)。日本の農産物の最大の供給先である日本市場は縮小の一途をたどるのです。
さらに、日本でも食のグローバル化が進んでいます。一方で、生産国の環境問題や不十分な人権保護、流通過程の不透明さなど、消費者の不安や不信を抱かせる事案も発生しています。このような中、信頼できる食品へのニーズが世界的に高まっています。
しかし、日本の農産物や加工食品は、他国が考える基準に従って必ずしも生産されているわけではなく、海外への輸出には課題があります。多くの国で通用する品質にするには、輸入側が求める水準の達成とその客観的評価を有していなければなりません。
そこで、世界に通じる品質と客観的評価のための第一歩としてGAPが必要となってくるのです。
今こそGAPに取り組み、変化の激しい世界で持続できる農業を構築する時がきています。
コラム【SDGsとGAP】


最近よく耳にするSDGs(エスディージーズ)。持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)のことですね。実は、GAPに取り組むことがSDGsにもつながるのです。では、どのように関わっているのでしょうか。
まずは、SDGsについて確認しましょう。SDGsは、2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された「国際目標」です。その内容は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すというもので、17のゴールと169のターゲットから構成されています。
17のゴールには、
- 「貧困や飢餓を終わらせる、差別や不平等の解消」といった社会面の課題
- 「天然資源の効率的利用や働き方の改善」といった持続可能な経済成長を促す経済面の課題
- 「気候変動対策や地球環境の保全」といった環境面の課題
SDGsの「S」持続可能性(サステナビリティ)とは、「これからも将来にわたって機能を失わずに続けていくことができる」ということです。SDGsは、その持続可能性の実現のために掲げられ、課題を統合的に解決しながら、持続可能なよりよい未来を築くことを目指しています。
GAPは農業者が守るべき法律や規範等をまとめたものであり、食品安全、労働安全、環境保全、人権保護、農場経営管理の5分野について、「持続可能性を確保する」ために取り組むものです。つまり、SDGsと目指しているところが同じなのです。GAPに取り組むことは、持続可能な世界をつくるSDGsにも貢献できる、と言うことが出来るのです。